2020年誕生したばかりの東栄町トラスト地。地元の協力者である日本熊森協会愛知県支部の支部長平子恵美さんより、さっそく同トラスト地における活動のご報告をいただきました。
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今年、奥山保全トラストさんが愛知県初のトラスト地を、北設楽郡東栄町に56.68ha取得されました。
東栄町は愛知県の北東部に位置し、700年続く「花祭」と呼ばれる霜月神楽の伝統芸能が残る自然と文化が豊かな町です。花祭は国の重要無形民俗文化財に指定されているので、祭りの時期になると全国から多くの方が町に訪れます。
購入された山地は天竜川の源流域にあります。静岡県の佐久間トラスト地から20㎞しか離れておらず、いつかトラスト地同士を繋げることができたら、と夢が広がりました。
地元の方のご協力に感謝
最初から県内にフィールドを持ちたいと思っていましたので、積極的に山間部に足を運び、活動の説明をしながら少しずつ地元の方との繋がりを作ってきました。その中で知り合った方が今回の山の情報をくださいました。
トラスト地として取得された場所は、以前、電力会社が購入する計画もあったのだそうです。紆余曲折を経てご縁が舞い込んできたことは本当に運が良かったと思っています。
9月に購入が正式に決まり、10月2日に愛知県庁で記者会見を行い、朝日新聞さんに記事を書いてもらうこともできました。
トラスト地初めての活動は急斜面での作業
先日11月末に、初めて支部の皆さんとトラスト地の見学会を兼ねて山の作業をしてきました。
現地は自然林が約60%、人工林・地肌露出地帯が各5%ずつで、残り約20%の皆伐跡地には元の山主さん時代に、森林組合さんの研修のため4200本の広葉樹が植樹されており、天然更新も始まっていました。
今回は、植樹された際に取り付けられた防護ネット外しを行いました。
8年たって成長した木がネットに食い込み始めていたので、このままでは育っていきません。見る限り鹿の食害もほとんど無さそうなので、外して様子を見ようということになりました。
ただ、急斜面に植えられたネットを外すのは至難の業。人海戦術で今回外せたネットは73本。先は長いですが、できるところは自分たちで、もちろんプロの力も借りながら、作業を通じて山の様子を知っていこうと思っています。
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ネット外し作業をするボランティアさんたち
東栄町役場を表敬訪問、地域の方々との繋がりも大切に
東栄町とご縁ができたことで、地域の方との繋がりも増えました。先日は、峰野県会議員と東栄町役場をご訪問させていただき、町長、副町長、町議の方々にご挨拶をさせていただくことができました。トラスト地訪問の帰りは東栄町の温泉で一休みして、というプランも楽しいかもしれません。今後、山間部と都市部を繋いでいくこともやっていきながら、地元の方にも喜んでいただけるようなお付き合いができたら、と思っています。
トラスト地をきっかけに、愛知県の地元企業や他団体とも連携を取り、同じ志の人と繋がりを作りながら、愛知県でも生物多様性豊かな森を少しでも多く次世代に残していけたらと思っています。