富山のトラスト地とその現状

富山県には、中新川郡上市町と魚津市島尻の二つの地域に近々当公益財団法人が所有することになるトラスト地があります。現在どのような状態なのか視察・調査に行きました。

 

(1)島尻トラスト地 2ha

4月29日、現地にくわしい富山市在住の方に、朝から案内をしていただきました。このトラスト地は、広葉樹の苗木畑にしようと購入したもので、10数カ所に点在しています。

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地図と照らし合わせて、位置確認をしている様子。

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トラスト地の一部。スギの人工林だが、それほど密集しておらず、林床には落葉低木や草本類が侵入しており良い状態であった。

散在するそれぞれのトラスト地の境界が分かり易いように、トラスト地の木にテープを括り付けてきました(下写真)。

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(2)上市町のトラスト地 670ha

午後から、上市町のトラスト地に行きました。現地に詳しい滑川市在住87才の方に案内をしていただきました。

上市トラスト地は、人里から離れた「奥山」にあり、全670ha(1ha=100m×100m)もの広大な広さを持っています。

標高差は1061mもあります。(一番高いところの標高は、1420m白越岳)

めったに人が入らない場所です。

山頂には少し雪が残っており、絵のように美しい山々でした。

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上市トラスト地(遠景)

この辺りは、北アルプス北部の山塊の一部で、斜度が60°を超える斜面をもつ深い渓谷が複数刻まれています。

林道も途中で止まっており、これ以上奥へは入るのも難しい場所がたくさんあります。

 

翌30日には、山奥の視察・調査を実施するため、朝から林道伝いに歩いて入山しました。トラスト地の中は、ハンノキやヤシャブシ、イタドリ、ヤナギ類、シダ類などの始原性の植生が繁茂し、林道のそばには、トチノキの巨木が時折見られました。カモシカやウサギなどの動物たちのフンも少し見ました。

IMG_8393旧林道

林道の様子。ヤシャブシやハンノキの低木、ササなどが繁茂している。車は通行できず、枝をかき分けながら歩いた。

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4月の最終日であるが、日陰にはいまだ多くの残雪が見られた。

今回の調査で目撃した動物は、予想していたよりもはるかに少なかったです。大型哺乳類はカモシカ1頭のみで、あとは、カエル、ヘビ、トカゲが少しぐらいです。

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カエルの卵。冬眠から目を覚ましてから生んだと思われる。

IMG_8395カモシカ糞

カモシカの糞と思われる。内容物は繊維質。

 

クマの痕跡を楽しみにしていったのですが、意外なことに、丸1日歩いても、全く見られませんでした。上市トラスト地は、ナラ枯れが深刻で、ミズナラが大量に枯れていました。これでは、クマの食糧が心配です。

 

上市トラスト地は広大なので、もう少し林道から外れた場所の調査も必要であると思いました。

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上市トラスト地内の滑滝(なめたき)。雪解けのこの時期には、こうした滝がいくつもできる。

上市トラスト地は、生態系豊かな富山湾にそそぐ河川の水源となる場所です。この水は、多くの動植物の命を支えます。この水源地を守ることは、たくさんの生命を守ることに等しい。この場所をこれからも守っていきたいと思います。

大阪西ライオンズクラブさんと皮むき間伐&植樹(戸倉トラスト地にて、2015年5月31日)

先日、戸倉トラスト地にて大阪西ライオンズクラブの皆さんと皮むき間伐と植樹を行いました。参加者数は26名。子どもから大人まで幅広い世代の方々が来てくれました。朝7時半に大型バスで新大阪駅を発車し、10時に戸倉に到着。道中のバスの中ではライオンズクラブの皆さんが、クイズ等の楽しい企画をして下さりました。

現地に到着し、午前中は皮むき間伐です。二人一組になって、一本の木の皮むきです。体力のある方は2本、3本と皮むきしていきました。

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樹皮にのこぎりで切り込みを入れている

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切込みからヘラを入れ、樹皮を剥がす

上手くむけると、樹皮が一周分むけます(下の写真)。

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樹皮をむいた後にでる白い樹肌は樹液に濡れており、ほんのり甘い味がします。クマは、この時期になるとスギの樹皮を剥き、この甘皮をなめます(これを、クマ剥ぎといいます)。

総勢26名で皮むきをした人工林は、2時間足らずで下のように変化しました。

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皮むき前

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皮むき後

このようにすることで、皮むきをしたスギは数年後に枯れ、葉を落とし、林床に日光が当たるようになります。

午後からは、植樹を行いました。樹種はトチノキで、ぜんぶで6本の苗木を、2012年の植樹地の下に植えました。

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トチノ木植樹

 

ここは、先日まで2012年に皆伐したスギの太い丸太が山積みされて、地面を埋め尽くしていました(写真A)。

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写真A:2015年5月17日撮影 材運び出し前

今ある植樹地の下にも新たに植樹ができるように、事前にスギの丸太を搬出して除去しました。

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2015年5月21日:伐採した材を業者に頼んで、川の対岸の道まで林内作業車で引っぱりあげてもらい、軽トラックで運び出した。

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植樹地の南面に新たな地面が現れました。

当日は、大阪西ライオンズクラブの皆さん総出で細かな枝等を片づけるのを手伝って頂いたおかげで、ようやく新たな命を植える事が出来ました(写真B)。

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写真B:5月31日トチノキ植樹後の同地点

戸倉トラスト地には、ブナ・ミズナラ林をはじめとする貴重な植生環境と、豊かな水資源があります。この場所は、地元の方にとっても、野生動物たちにとっても、行きとし生けるものすべてにとって大切な原点です。

スギ人工林から、広葉樹林へ。多くの動物が棲める豊かな自然環境に、実のなる広葉樹林は必要不可欠なのです。戸倉トラスト地には、約1割の面積が人工林は、これまで、様々な方々のご協力のおかげにより、少しづつですが、多様な植生環境が復元しつつあるのです。

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皮むき間伐地にて、記念撮影

 

 

戸倉でのパッチディフェンス修繕作業(4月19日、日曜日)

2015年も春をむかえ、戸倉の植樹地に植えられた若い命にも春が来ました。今年の冬もたくさんの雪が積もり、若木たちにとってはさぞかし過酷な冬だったのだろうとます。

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積雪の力で、歪むパッチディフェンス(今年3月28日撮影)

19日当日は、深い雪の姿はなかったものの、春の雪解けとともに無残な姿のパッチディフェンスが露わになっていました。パッチディフェンスの網や杭は、傾いているものや、なぎ倒されているものが多く見受けられ、網を支える鉄のポールは、地面に刺さっている根元からねじ曲がっておりました。雪の力というのはとてつもなく大きなものです。

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根元からなぎ倒される防獣杭(4月17日撮影)

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雪の力でなぎ倒されるパッチディフェンス(4月17日撮影)

作業は、雨が降る中行われました。この日の作業に来て下さったボランティアさんは5名で、本部からは2名が向かいました。雪解け直後という条件に加え、昨夜からの雨で地面が柔らかくなっており、さらに急斜面ですので足元が滑りやすく、作業は難航しました。

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若木(右)と、修理が完了したパッチディフェンス

 

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作業の様子。斜面の下には未だに残雪があり、足をとられた。

 

倒れた杭を起こして打ち直し、やぶれた網を縫い直して、杭の高さが低い場所には、鉄のポールを横に括り付けて高さを増して、倒れた若木には棒を立ててもう一度起こしてあげて、、、、というように状況に応じたくさんの仕事をしました。その甲斐あって、歪んでいたパッチディフェンスは見事に修理されました。

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BEFOR(2012年植樹地、今年3月28日撮影。)

 

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AFTER(2012年の植樹地、4月19日の修繕後)

 

 

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BEFOR(2014年植樹地、今年3月28日撮影)

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AFTER(2014年植樹地、4月19日の修繕後)

 

今回の活動を経て、自然の力の強さというものを身に染みるほど感じ、一度人工林になった場所を再び広葉樹林に戻すことの大変さをもっと多くの方に分かってほしい。そう思いました。

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修理を終えたパッチディフェンスをバックに集合!

 

 

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はい!チーズ!(^^)!

ボランティアの方々には、日曜日でしかも雨の中にも関わらず頑張っていただいたので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!(^_^)

 

 

公益財団法人になりました

昨年より、公益認定申請を行い、公益財団法人化へ向けて
作業を進めてまいりましたが、
平成27年2月27日、公益認定書が届き、公益法人になることが
できました!

わずかに残る奥山水源域の生物多様性に富んだ森を
ナショナル・トラストにより守ろうと
平成18年にNPO法人奥山保全トラストを設立し、
進めてきた事業を、これからは公益財団法人奥山保全トラストが
引き継ぎます。
今年中にNPO法人奥山保全トラストから全てのトラスト地を
引き継ぐ予定です。

子や孫、これから生まれてくる子どもたちの将来のため、
全ての生きとし生けるもののため、
100年後も、1000年後も、生命の源である豊かな森を
日本に遺して行けるよう
スタッフ一同、使命感をもって事業を進めてまいります。

今後とも奥山保全トラストをよろしくお願いいたします。